教育ジャーナリスト中曽根陽子が、さまざまな立場で教育に関わっているオピニオンリーダーにインタビューする探究チャンネル。やりたいことを見つけて、自分らしく生きていくための探究力の育て方について、これからの教育や子育てについて、ゲストをお迎えしていろいろ伺います。
今回は、Eco Conscious Japan代表・北欧ツアーコーディネーター の戸沼如恵さんをゲストにお迎えした2021年12月3日のVOL.10のお話をリポートします。
北欧との出会い
戸沼さんが北欧と深く関わるようになったきっかけは、お子さんのデンマーク留学です。北欧について調べる内に「様々な面で日本社会のお手本になるのでは?」と興味がひろがりました。東日本大震災の後、デンマークの原発をしなかった政策に注目し、デンマークで一番エコな島であるロラン島を取材し、自然エネルギーで自給自足していこうとするデンマーク人の力強さと先進的なアイデアに希望を持たれます。百聞は一見にしかず、ぜひこの国に一人でも多くの方に足を運んでいただきたいという思いで、北欧と日本を繋ぐ会社、エコ・コンシャスジャパンを企業されました。
サーキュラーエコノミーとは
サーキュラーエコノミー(循環型経済)は持続可能な経済活動を目的とした概念で、廃棄物を出さない設計や仕組み作りは、ヨーロッパで重要な政策の一つとなっています。オランダのアムステルダムのユニークな取り組みについて写真を使って詳しくご紹介くださいました。
どの事例も斬新でおしゃれ、廃棄物が宝物になっていました。戸沼さんが伝えたいことは「オランダのアイデアは、真面目だけではなく、Crazy&Fun。楽しくやること」循環型にするためだけではなく、おもしろいアイデアに変えていくところがオランダ人らしいところです。
「楽しいからやる」姿勢で作られたツアー、携帯電話、カフェ、ホテルは、どれも魅力的で、まじめに循環型だけを考えていては創り出されないものだと思いました。「楽しい」という要素はとても重要なエッセンスだと感じました。
中学生に話してみて
戸沼さんは、このサーキュラーエコノミーについて中学2年生の「地球学」という授業でお話されました。中学生から「太陽光パネルは良いと思っていたけれど、サーキュラーエコノミー的に考えると持続可能だろうか?」という鋭い問いかけもありました。授業では斬新なアイデアが次々と出て、中学生の頭の中が動き始めたことがとても良いことで、答えに正解はないと感じたそうです。
「サーキュラーエコノミーは新しい分野の産業になって、仕事として考えるとおもしろいと思う」という戸沼さんの視点に私は大きく頷きました。
さらに戸沼さんはご自分の生活の中でも「これはサーキュラーエコノミー的に考えてどうなのか?」と考えるそうです。私もこの視点をもって今一度、暮らしを見直してみたいと思いました。
ヨーロッパの学生をみてきて感じたこと
戸沼さんは、北欧各国の幼稚園から大学まで、学校をたくさんご覧になっています。全てに共通している事は「自ら学ぶ。自分のペースで学ぶ」姿勢で、特にフィンランドでは科目横断型で探究的な学びが基本となっています。さらに、幼児期から空白の時間がたくさんあり「幼い時に、時間にゆったりすることが大切だ」とお話しくださいました。
フィンランドの学校の様子は写真を使ってご紹介くださいました。生徒の授業中やくつろぐ時間、先生方のカフェの様子など、日本の学校ではみかけない光景に私は目が釘付けになりました。森の幼稚園の光景をはじめ、ゆったりとした時間の流れを画面越しに感じました。
世界を見てきた北欧ツアー専門家が今、伝えたいこと
・時間と心の余裕があること
大人は4時ぐらいに仕事が終わり、家族で夕食をとる。
夏は1か月ぐらい休み、リフレッシュする生活を送っている。
子どもだけではなく、大人にも時間と心に余裕があり、暮らしを大切にしている。
・失敗を気にしない・気にされない
北欧は、何度でもやり直しができる受容する社会。例えば「企業したけど1年でダメだったから大学に戻る」ことを、本人も気にしていないし、社会も問題視しない。失敗から醸し出される人間味を大切にする社会を目指したい。
印象にのこったこと
戸沼さんのお部屋は北欧のクリスマス仕様で、ゆったりしたあたたかな雰囲気であふれていました。たくさんのお写真とお話を伺い、本当の豊かさを感じました。北欧は「心と時間の余裕」のある社会だからこそ、失敗を受容する余白があるのだと感じました。豊かな北欧のお話を伺い、とても贅沢な気持ちになる1時間でした。
アーカイブと次回のご案内
戸沼如恵さんをお迎えした探究チャンネルVOL.10はこちらから全編ご覧いただけます。
次回VOL.11は、12月23日(木)20時から、元NHKエグゼクティブアナウンサーの村上信夫さんをゲストにお迎えします。
お楽しみに♪
ご視聴はこちらから。YouTubeマザクエチャンネル
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